ブログ記事「町おこしin羽後町」を投稿(2010年07月26日)
→ ロボットにツイートされる
→ そのボット上で紹介されていた調査報告書
を読んだので,その記憶を残すためのメモです。
兵庫県のコンテンツ紹介ではありませんが,兵庫県でのコンテンツ活用の取り組み指針の掴みに役立ちそうです。
『観光におけるサブカルチャーコンテンツの活用に関する調査研究』
平成21年3月,財団法人中部産業活性化センター
http://www.cirac.jp/research/ciac.html
http://www.cirac.jp/document/ciac/research/20/subculture.pdf
当方の課題調査(平成20年8月〜10月)と,「サブカルチャー」の捉え方や,集客交流面での振興策は同じ方向性です。ただし,一般の報告書としての完成度は,調査の目的や要件が違うとはいえ,本調査報告書の方が優れているのは認めざるを得ません。
これまでに自分の頭の中で考えていた事で,うまく体系的に説明付けできなかった部分への参考となりました。
(参考)ブログ内関連記事:
「町おこしin羽後町」〜町おこし活動の基本に忠実だから成功 2010年07月26日
http://hyogotsucool.seesaa.net/article/157508631.html
以下,自分のための整理メモですので,引用をベースに,端折って抜粋したり,未精査のコメントを付していること,留意ください。
「観光におけるサブカルチャーコンテンツの活用に関する調査研究」
平成21年3月、(財)中部産業活性化センター
◆本調査におけるサブカルチャーの定義
@ポップカルチャー:アニメ、マンガ、ゲーム
Aデジタル・メディア:PC、オーディオ
B若者文化:ファッション、雑貨、アクセサリー
C生活文化:B級グルメ、カフェ、演芸
*全般:サブカル@〜Cが集積するエリア
◆サブカルチャーを活用した観光の課題
(1)活用のポイント
@「核」となる本物のコンテンツの提供
・コアなオタクが認めるようなコンテンツ
Aライブ・イベントなどの体験できる機会
・その場で体験できることが旅の思い出として深く刻まれる
B賑わいの要素「見る」「食べる」「遊ぶ」
・「遊ぶ」の要素として、「新しいお店を楽しむ」「まちの賑わいを見る・肌で感じる」「経験を楽しむ」
Cメインカルチャーとサブカルチャーの相乗効果
・既存の観光資源(メインカルチャー的)ではパターンが固定化、サブカルをアクセントとして活用、地域全体を魅力的に演出
*都市だとメインカルチャーが強いが,サブカルも付加価値創出には必要だ!。
Dコンテンツの消費の寿命
・人気の盛衰に留意、継続性の高い魅力的なコンテンツ提供
*アニメ化でピーク/ゴールとなるコンテンツが最近は多そうだが,
「涼宮ハルヒ」や「Fate/stay night」は相当続いている方か!。
対局は,常に新規イベントを出し続ける事か?。
(2)観光のターゲット
@増加している「ライト層」の確保
A外国人観光客の誘客
◆サブカルチャーを活用した観光振興策
(1)サブカルチャーに関連する観光力の創出
@メインカルチャーとサブカルチャーの連携による新たな魅力づくり
Aコアなファンも満足する「本物」を翻訳できるガイドの必要性
Bサブカルチャーイベントを核にした関連イベントの育成及び創設
Cサブカルチャー関連商品の開発(お土産品など)
(2)情報発信・プロモーションの強化
@イメージアップ及び意識啓発
A魅力のPR強化
B観光関連事業者へのPR
(3)受入体制及び推進体制の構築
@案内組織(ガイドボランティア)の設立
A関係機関による連絡会議の確立
B多言語化による外国人対応
◆サブカルチャーを使った観光の楽しみ方の提案
@特定ファン層へのアピールする方
・「非日常感」や「限定性」、B級グルメなどの「食」の要素などを付加
A広く一般層(ライト層)にアピールする方
・既存のメインカルチャーに、サブカルチャーの「新しさ」や「驚き」を付加
◆キーセンテンスの拾い出し/気になったところの抜粋
第1章:サブカルチャーを取り巻く現況
- メディアミックス:マンガのアニメ化、アニメのゲーム化、ゲームの小説化
- オタク文化とは、アニメ・マンガ・ゲームなどのコンテンツを嗜好すること。一方で、無駄や遊びの要素を演出し表現することも含まれる。[森川嘉一郎氏]
- 地域固有の有形・無形の文化は、めいんカルチャーとサブカルチャーが適度にインタークロス(異種交流)しながら受け継がれてきた。[井口貢氏]
- オタクと呼ばれる層は、あるキャラクターを通して、アニメ・マンガ・ゲーム・フィギュアなど様々な媒体を回遊する傾向がある。[(株)メディアクリエイト]
- 一般層のライトオタク化とオタク領域の拡大:拡大したオタク領域で消費されるオタクコンテンツ ← インターネットの進展による、プロシューマの登場とコミュニティ/市場の活性化
- オタクがクロスさせているメディアの全容:コンテンツを核に多様な展開、メディアミックスによる消費の拡大
- 中核的な萌えビジネスの特徴として、生産者の規模が極めて小さく、大規模な投資を必要としない…、…一般的な市場原理とは異なり、小さな需要に対して付加価値の高い製品を数量限定で販売するような独自のメカニズムを有している。[森永卓郎氏]
- 参加体験型、着地型観光等の新しい動き
- 事例分類:
@全般:多様化・重層化した「カテゴリ専門店」が集合体として面的に集積するまち
Aポップカルチャー:ストリート型、複合商業施設型、イベント型、テーマ施設型
B若者文化:まちづくり活動と連動事例
C生活文化:地域固有の資源を活用 - 秋葉原の変遷:不特定多数を対象とする行政主導の計画的なまちづくりでは不可能
- 秋葉原がオタク文化・ポップカルチャーのまちとして成立しているのは、東京の人口規模によるところが大きい。
- 時間的なゾーニング:平日の午後〜夕方はオタクが出入りし、週末は観光客が訪れる。
- 中部地域におけるコンテンツ分布
- 4テーマを包含する「大須エリア」で、「遊ぶ・体験」「買う」「食べる」に再整理
- 「世界コスプレサミット」:2004年から、2006年から外務省後援、テレビ愛知の経費持出し
- 来街者の現況とニーズ:アンケート調査
- 特性と課題、評価と分析
- ライト層の観光嗜好は、@常に新しいお店を楽しむ、A人で賑わうまちの活気を見る肌で感じる、B経験を求める
- 既存の観光資源として一定規模の集客を誇るメインカルチャーに、常に変化する新しさや斬新さを備えたサブカルチャーをパッケージ化
- コアなファン層にはヘビーユーザーが多く、目的もショッピングに限定している場合が多い。
- サブカルチャーの魅力をわかりやすく伝えるための参加・体験メニュー(観光商品)をまちのなかに点在させて、…、説明(翻訳)するとともに、職人、技術者、クリエイターらと直接コミュニケーションを図ることができるプログラムを通じて、…
- 様々な客層に向けて、魅力を伝えるためのツールづくりや情報発信拠点の整備などが重要
- 外国人にも対応、きめ細かいおもてなし
- メイドカフェなど、「体験してみたい」という興味本位のライト層のニーズに対しては、‘一般の人に理解が得られる’、‘非難されない’といった点を考慮しながら活用
*これのバランスが最も難しいでしょう。コアな層から見るとほとんど出来ていないと言われるのかも?。
(1)井口貢氏
- 観光資源は、自然(有形)と文化(有形・無形)に大別される。
- サブカルチャーとは、ハイカルチャーやメインカルチャーと対峙するものであり、相反するものではないため、適度にインタークロス(異種交流)することが望ましい。
- 「生活文化産業観光」の仕組み
- 秋葉原は、役所などの計画がなかったために結果としてオタク化が進んだ。
- 秋葉原がオタク文化・ポップカルチャーのまちとして成立しているのは、東京の人口規模によるところが大きい。
- オタクの動向をトップダウンでコントロールすることは不可能である。そのような計画をせずに、むしろ「邪魔をしない」という政策が重要である。
- 原則として観光とは名所・旧跡を巡るというとても古典的な行動である。
- 日本に来れば、アニメやマンガがフィーチャー(パッケージ)としてあり、オタク文化・ポップカルチャーをおまけとした観光は考えられる(フィギュアのおまけと同じ)。
*おまけが前面に出たら売れない、という海洋堂フィギュアの経験則 - コアなオタクが来たくなる、参加したくなるほどの充実したコンテンツを用意するか、逆にオタクは一切対象にしないか、意図や方針を明確にする必要がある。
*「西の強豪」(出典:nicovideo)の兵庫県だが、体制/大勢は後者なのか?
以 上