或る50歳代男性(実は私の上司)が語ってくれた
にくてんにまつわる想い出……
>姫路市飾磨に住んでいた昭和35〜36年頃の思い出。
>にくてんには、こんにゃく、ニンジン、ジャガイモなどの角切りが入っていた。
>肉は入っていないことが多かった。入っているとしたらすじ肉だった。
>値段はだいたい1枚、10円ぐらい。
>駄菓子屋併設の小さな鉄板の周りにイスが6個ほど置いてあって、
>店のおばちゃんが作ってくれた。
>子ども達がおやつに食べに行ったり、
>大人も冷や飯を持って行って焼き飯を作ってもらって、
>持って帰ってにくてんと一緒に食べたりした。
……とのこと。
このなかで
「大人も冷や飯を持って行って焼き飯を作ってもらって、
持って帰って」いた、というのは貴重な証言です。
と言いますのも、われらが兵庫県のご当地グルメ「そばめし」も、
長田で昭和30年頃にケミカルシューズ工場で働いていた女性が
昼食用のご飯をお好み焼き屋に持ち込んで温め直してもらう時、
焼きそばを一緒にまぜてもらったことが起源、
とする説が有力と言われているからです。
にくてんにまつわる想い出と併せて考えると、
「そばめし」のタネらしきものは相当広範囲にあったらしい。
それがなぜ、長田ではご当地グルメと見なされるほど
普及したのか?
奥深いですね。
こういった貴重な証言を収集することも
ご当地グルメのPRには重要なことですね。
参考文献
足利亮太朗「神戸市長田区/「そばめし」が生まれたまち」(関満博他編『「B級グルメ」の地域ブランド戦略』新評論、2008所収)